静岡県磐田市の税理士
大井 瑛里佳 です。
お勤めの方が毎月会社からもらえる給与は給与所得となりますが
この給与所得の中は現物給与というものがあります。
現物給与とは何か?、そして現物給与のなかでよくある食事代についてまとめました。
※この記事は令和6年6月時点の情報を基に作成しています。
現物給与とは?
まず給与所得とは所得税法第28条で
給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る
所得をいう
規定されています。
給与というと現金で受け取るイメージが強いですが
現金以外にも物、権利その他経済的な利益を与えた場合も給与として取り扱います。
現金支給の給与以外のものを「現物給与」といいます。
イメージとしては役員や使用人に何らかの利益がもたらされた場合は給与扱いになるということです。
しかしすべてが給与になるのではなく、一定のものについては
非課税として取り扱われたり、課税しないと取り扱われるものがあります。
食事代を支給した場合の取り扱い
役員や使用人に対して支給する食事代については
本来もらった給与のなかから支払うべきものと認められるため
雇用主が食事代を何らかの形で負担した場合には
食事代の支給を受けた人にとって食事代相当額の経済的利益が発生したことになり
原則は給与として課税されます。
食事代については次の区分に応じ評価されます。
①雇用主が調理して支給する食事
その食事の材料等に要する直接費の額に相当する金額
②雇用主が購入して支給する食事
その食事の購入価額に相当する金額
※消費税等の額を含めた金額
しかしながら食事に関しては
業務の遂行上必要であるから支給する場合は、福利厚生の側面もあること
また少額不追及の観点から一律に課税するのは適当でないことから
注)少額不追及とは少額なものまで強いて追求し課税することは必ずしも妥当ではない
一定の要件を満たす場合には課税されないことと取り扱われています。
食事代が課税されない場合
役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。
①役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
②次の金額が1か月当たり3,500円(消費税等の額を除く)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
※10円未満の端数を切り捨て
上記の要件を満たしていない場合
食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税されます。
一般的には食事代の60%以上を給食費として給与から天引きしているケースが多いです。
また、深夜勤務がある場合、深夜勤務者に夜食の支給ができないために
1食当たり300円(消費税等を除く)以下の金額を支給する場合には課税されません。
なお、残業または宿日直を行うときに支給する食事は、
これらの勤務に伴い追加的に必要となる食事を提供することになるので
無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。
食事代勘定科目は?
従業員さんの食事代を支出した場合には
「福利厚生費」として処理します。
イートイン形式の社員食堂は消費税率10%、
お弁当は軽減税率8%など内容によって消費税率が異なるため注意しましょう。
社内に社員食堂がなくても
会社でお弁当を注文しているケースは多いと思います。
給与課税にならないために会社負担と個人負担の割合を明確にしておきましょう。