静岡県磐田市の税理士
大井瑛里佳 です。
青色申告の特典として代表的なもののひとつ
青色専従者給与。
この青色専従者給与とは一体どのようなものでしょうか?
青色専従者給与についてまとめました。
令和5年7月時点の法令を基づいて作成しています。
生計一親族に対する給与は経費にならない?
まず前提としてのお話ですが
配偶者や生計一親族に対して給与を支給する場合
原則その給与の額は必要経費になりません。
配偶者や生計一親族に対してお金を渡す=生活費の支払いと考えるからです。
しかし一定の要件を満たす場合には、あらかじめ届出をすることで
給与も必要経費にできますよというのが、青色専従者給与です。
青色専従者給与の要件
では、青色専従者給与の適用を受けるためにはどのような要件があるのでしょうか?
ここでは要件を確認しましょう。
・青色申告者(納税者本人)と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
※生計を一にするとは、同じお財布で生活していることをいいます。
・給与の支給を受ける方がその年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
・その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、
その青色申告者(納税者本人)の営む事業に専ら従事していること。
※片手間のお手伝いではないということ
・「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。
・届出書に記載されている方法により支払われ、かつ、その記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
青色専従者給与の届出
では、青色専従者給与の適用を受ける場合の届出書を確認しましょう。
青色専従者給与に関する届出書は
青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日
(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、
その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)
までに提出しましょう。
年末になって慌てて届出書を提出しても適用を受けることができないので
ご注意ください。
この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっています。
青色専従者給与届出手続きについてはこちらをご覧ください。
青色専従者給与の変更は?
過去に提出している届出書に記載した専従者給与の金額の基準を変更する場合
(給与規定を変更する場合、通常の昇給の枠を超えて給与を増額する場合など)
新たに専従者が加わった場合など青色事業専従者給与の支給に関して変更する事項があるときには
変更の届出書を提出します。
こちらは青色専従者給与に関する届出書の
「変更届出書」の部分に✓マークを付して必要事項を記載します。
こちらは具体的な提出期限は設けられていませんが、遅滞なくということなので
変更事由が生じましたら、早めに提出しましょう。
青色専従者給与の取りやめは?
専従者として働いていたけれど、就職を機に専従者から外れるようになったなど
青色専従者給与を取りやめる場合ですが
こちらに関しては届出書の提出は必要ありません。
青色専従者給与のデメリットは?
青色専従者給与の適用を受けることのデメリットはあるのか?というと
青色専従者給与の適用を受けると
所得控除である
「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」の適用を受けることができません。
どちらかを選択することになります。
また、給与の支給ですので
源泉所得税を徴収する必要があります。
※月額88,000円以上ですと源泉所得税がかかります。
そして、年末調整、法定調書合計表、給与支払報告書の提出など
事務手続きが発生します。
会計事務所に依頼すると
年末調整、法定調書合計表、給与支払報告書の提出を代わりにやってくれるので
手間を省くことができますよ。
いかがでしょうか?
給与計算事務などやることもあるよ、
所得控除と併用できないよとデメリットもありますが
お得な制度ですので、ぜひ検討してみてください。